■お酒を醸してくれる菌について

 

麹菌


 まず麹菌は水田で稲が黄色く実った秋の雨上がりに、稲の穂の根元に現れます。

籾に濃い緑のカビ玉がつき「稲麹」または「稲玉さま」と呼ばれ、昔はこれが着くと豊作のしるしとされました。この「稲麹」のカビ玉を取っておき、蒸したお米にこのカビの胞子を振りかけ(種付け)温暖湿潤の中で育むと麹米となります。酒造りでの役割は、お米の糖化です。

 

乳酸菌


次は乳酸菌。乳酸菌はお米が大好き。他の菌が苦手な低温下でも元気で、米由来の乳糖によく繁殖し、ご飯を水に漬けて低温下でおいて置くと自然に現れます。彼の役割は乳酸による酸性場作り。お米と水の混ざり合った、色々な菌にとってもエサが豊富な場を、乳酸の酸の効果で、酒造り以外の雑菌の繁殖を押さえ抑制してくれます。酒造りでは、その間に麹菌が活躍してお米を十分に糖化発酵してくれます。

 

酵母菌


そしてそこに現れるのが酵母菌です。酵母菌の好物は甘み。つまり糖分です。酒造りでは麹菌が醸したお米の糖分めがけて集まってきます。自然界のバランスは絶妙で、乳酸の酸性場で他の菌が抑えられる中、酵母菌だけはその中を元気に活躍できるのです。役割は糖分を食べてアルコールとガスを出すこと。人間でいうと、ご飯を食べてオシッコ(アルコール)とオナラ(炭酸ガス)をするようなものです。このオシッコを利用するのがお酒造り(日本酒・マッコリ・ワイン)オナラを利用するのがパン造り(ビールやシャンパン・シードルは両方)です。

 

酵母菌が活躍を始めると一安心で、お米の糖分を食べてどんどんアルコールを出して、もう他の菌が入れないようになります。この酵母菌の出すアルコールがお酒です。またお酒のいい香りも酵母菌が主に醸してくれます。